私は最近、生物に限らず、物体を欲しいと思ったことはありません。欲しいものはすべて情報です。情報を入手するための手段として、環境、すなわち物体が一時的に必要になるだけのことです。
物理的な快楽が存在すると考えているのなら、それは、ディスクが磁気ヘッドに接近して生じる空気音のようなものでしょう。実は触ってはいない。そこを通過するのは信号だけです。それらはすべて、VRで再生可能な感覚なのです。媒体と本質、メディアとコンテンツを見誤ってはいけません。
森博嗣. 有限と微小のパン THE PERFECT OUTSIDER S&Mシリーズ (講談社文庫) (p.209). 講談社.